

「直訳」と「翻訳」のあいだ
2014年07月04日
*ここでいう「直訳」は、原文臭さの残った訳。
「翻訳」は、原文の形式的な構造を自然な日本語に再構築させた訳。
中学入試・高校入試・大学入試それぞれ和訳問題を出題する学校があります。
そこで、今回はちょっとした和訳講座をお届けします。
まずは次の英文を和訳してみましょう。
The dog’s attempts to climb the tree after the cat came to nothing.
—–訳してみたら以下を読み進めてください—————————————
どのような訳文になったでしょうか?直訳だと次のような感じでしょうか。
「ネコを追って木に登ろうとするその犬の(何度もの)試みは無に帰した。」
学校のテストであれば丸をもらえる訳かもしれませんが、日本語それ自体としては、不自然さが残っています。
そこで、次のアプローチを適用させてみましょう。
≪ 所有格を主語に見立てて訳してみる ≫
原文に立ち返ると、”The dog’s attempts”とはありますが、実際にattemptsを犬が「所有」しているわけではありませんよね?!
「動名詞の意味上の主語は所有格で表す」といったことをどこかで習った記憶のある読者もいらっしゃると思いますが、
ここでのThe dog’s もattemptsにとって意味上の主語だと考え、手を加えてみると、この英文は以下のように英訳し直すことができるわけです。
The dog attempted to climb the tree after the cat, but the attempt came to nothing.
このように解釈すると、以下の様な訳になってきます。
『その犬はネコの後を追いかけて何度も木に登ろうとしたけれども、無駄だった。』
こちらの訳の方が自然ですよね。
それではもう1つ類題をみてみましょう。
The Norman’s conquest of England in 1066 had a great effect on the English language.
これを直訳すると次のような書き出しになってしまうかもしれません。
「1066年のノルマン人のイギリスの征服は・・・・」
「の」が単語間の関係を分かりにくくしています。
そこで、先程のアプローチを適用して訳してみると、
『1066年にノルマン人がイギリスを征服したことが、英語に大きな影響を与えた。』
となり、自然な訳になります。
いかがでしたか?
≪ 所有格を主語に見立てて訳してみる ≫と、うまく訳せることがある。
覚えておきましょう。
(ktn)