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ルッキズムと答案 ——その字、読んでもらえていますか

2026年04月25日

「人を見た目で判断してはいけません」

学校でも家庭でも、たいていの大人はそう教えます。ルッキズム、つまり外見で人の価値を測ること。それはよくないことだと、みんな知っている。——では、答案用紙の話をしましょう。

読めない字は、採点されない

身も蓋もないことを言います。

入試でも模試でも、採点者が読めない字は、不正解になります。「書いてあるのに×にされた」と憤るお子さんがときどきいますが、厳しいようでも、「書いてある」と「読める」は別の話です。

答案というのは、自分のために書くメモではありません。採点者に読んでもらう提出物です。就職活動のエントリーシートを想像してみてください。中身がどんなにすばらしくても、殴り書きで判読できなければ、まず読んでもらえない。それは「ルッキズム」でしょうか。——違いますよね。読んでもらえる状態にして出すのが、提出物としての最低限のマナーです。

いわば、答案は書面審査なのです。中身を見てもらう前に、まず「読める」というハードルがある。

達筆である必要はありません。求めているのはただひとつ、「読めるように書いてください」、それだけです。

具体的に言えば、「ツ」と「シ」の区別がつく。「や」と「か」が別の字に見える。——これらはセンスの問題ではありません。注意の問題です。

採点者は、あなたの味方になりたい

これは意外と見落とされがちな事実ですが、採点者は、できることなら正解にしたいと思って読んでいます。特に記述問題では、部分点をあげられる要素を探しながら読む。採点者は敵ではありません。

ところが、その味方になりたい採点者が、そもそも何が書いてあるか分からなかったらどうしようもない。善意の読み取りにも限度があります。判読できない字で書かれた答案は、採点者から「読んでもらう機会」そのものを奪っているのです。

もったいないと思いませんか。内容は合っているかもしれないのに、「読めない」という理由だけで、土俵に上がれない。

ルッキズムと答案の違い

話を最初に戻しましょう。

人を見た目で判断するな、というのは正しい。人の内面は外見に表れるとは限らないからです。

でも答案は違います。答案の中身は、文字という外見を通してしか伝わらない。中身と外見が不可分なのです。だから、「字の見た目で判断するな」という主張は、答案に関しては成り立ちません。

求められているのは、美しさではありません。「これを自分以外の採点者に読んでもらう必要がある」という意識です。

字のうまい下手ではなく、相手に読ませる意志があるかどうか。答案を通して問われているのは、実はそこなのかもしれません。

山本