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幾何学9「平行線公準」

2026年06月20日

こんにちは。内角の和が270度になる三角形を作れますか? 答えは最後にあげます。飯田です。

今日は公理の話をしましょう。さて、公理とは何でしょうか?

2000年以上前にユークリッド(エウクレイデス)は、幾何学の前提条件として次の決まりごとを考えました。
・点から点へ直線を引ける。
・有限の直線はいくらでも延長できる。
・点を中心に、好きな半径で円を描ける。
・すべての直角は互いに等しい。
・1つの直線が2直線と交わるとき、同じ側の内角の和が180度未満であれば、その2直線を延長したとき、180度未満の角がある側で交わる。

これらは「公理(公準)」と言われています。ユークリッドは「原論」の中で、公理を示し、それらを使ってそれまで知られていた色々な定理を導いていきます。ユークリッドのおかげで、公理から論理を積み重ねて定理を作っていく数学のシステムが確立されました。これはとても偉大な業績です。

と同時に、この最後の公理が数学の世界で2000年にわたり議論になりました。この最後の公理は他と比べて複雑に見えます。もしかして、他の公理から論理的に証明できるのではないかと考えた人も多くいました。この最後の公理は、「ある1つの直線と平行かつ、直線上にない1点を通る直線は1本しかない」などと言い換えることができます。この公理は「平行線公準」と呼ばれました。

長い間、だれも証明ができず、公理として扱われてきましたが、19世紀、数学者たちはこの平行線公準を否定、または変更しても幾何学が創れることに気づきます。これが「非ユークリッド幾何学」です。

平行線が無数に存在する幾何学の世界「双曲線幾何学」が創られました。このイメージは、馬に付ける「鞍」の表面のイメージになります。

平行線が1本もない幾何学の世界「楕円(球面)幾何学」も創られました。これは地球儀のイメージです。経線が北極点などで交わるので平行線がない世界です。

1899年、ヒルベルトは幾何学の公理系を、より現代的に厳密なものに形式化をしました。「ヒルベルトの公理系」と呼ばれています。

平行線公準は絶対的なものではなく、空間の性質を定義するものの1つに過ぎなかったということが明らかになりました。

決まりごとの中から何か1つ変えて新しい世界を創ることができる。このアイデアは、数学以外にも応用できますね。

さて、冒頭の「内角の和が270度の三角形」の答えを発表します。
完全な平面上では、ユークリッド幾何学によって、三角形の和は常に180度です。この矛盾を解消するために、さきほど少しふれた「球面幾何学」で考えます。
地球儀を想像してください。北極点をAとします。また、赤道上に2点B,Cをとります。ただし、BとCは赤道1周の1/4の距離になるようにとってください。
このとき、,AB,BC,CAは球面上の直線と考えらえるので、ABCは三角形になりますね。内角はどれも90度になりますから、内角の和が270度です。

では、失礼します。

enaあざみ野校校長・算数数学担当 飯田

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