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数学史6「現在」

2026年06月05日

こんにちは。小さい頃から電脳空間で育った飯田です。

数学史最後は、現在の数学、20世紀末から21世紀の数学についてお話しましょう。

計算スピード・精度で人類を遥かに超える存在が出現しました。コンピュータです。作業スピードと精度をいかして、しらみつぶしに全パターン検索をコンピュータで実行することで、100年以上未解決だった四色問題が証明されたのは20世紀後半のことです。ちなみに四色問題とは、県でも国でも、地図上で隣り合うもの同士が同じ色にならないようにぬり分けるのに最大4色あればいいという問題で、古くから地図職人たちには知られていました。経験則としてわかっていましたが、証明されたのは結構最近です。1976年、アメリカの数学者ケネス・アッペルとヴォルフガング・ハーケンが、当時としては異例の大型コンピュータを用いて、約1,900通りの基本パターンを全て検証することによって解決しました。ただスマートな方法ではないので、今でも研究されている問題です。

コンピュータの力を利用して、近似的に方程式の解を求める方法や微分方程式を求める方法なども開発されました。微分方程式の数値解法では、差分法や有限要素法などが用いられますが、簡単に言えば、コンピュータの計算力を利用して近い値を求める技です。

確率統計論に関しては、半導体などの技術進歩とインターネットの発明で、コンピュータがビッグデータを扱えるようになり、格段に作業時間が短縮されました。AIの出現よって、傾向や結果の把握も容易になっています。

また、インターネット上で情報を安全に扱うためにデータの暗号化のアルゴリズムが求められるようなりました。暗号理論の開発は、整数論や代数学・代数幾何学を巻き込みました。RSA暗号や楕円曲線暗号などの安全性の根拠に素因数分解の困難性などが不可欠です。アルゴリズムの計算量(解くのにかかる時間)を評価し、安全性を保証するため、計算複雑性理論も発展しました。

以前、特異点のお話をしたときに、AI(人工知能)が人類の知能を超えるAI特異点についてお話しました。AIの開発には、以下の数学分野が活躍しています。

・線形代数(ベクトル・行列): 大規模なデータ処理、AIの入力データ(画像、言語など)を数値化して扱うために使用します。
・微積分(偏微分): AIのモデルが学習する際、誤差を最小化するための最適化計算(勾配降下法)に使われます。
・確率統計 : データの傾向を理解し、AIの予測精度の評価や確率的なモデル化(ベイズ推論など)に不可欠です。

新学習指導要領で統計が必修化されました。大学共通テストも論理的思考と応用力を重視する方向へ変わろうとしています。これからの時代、計算はコンピュータが行ってくれるでしょう。何を計算させるかのアイデアと、データを読み解き、意思決定する力が求められています。数学自体も、「難しい計算をする技」から「論理と思考の道具」へと存在意義が変わりつつあります。

では、失礼します。

enaあざみ野校校長・算数数学担当 飯田

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