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あれこれよりも、ひとつひとつ
2026年06月01日
帰国生入試の作文では、海外での経験を書くよう求められることがよくあります。せっかくの経験ですから、たくさん詰め込みたくなる——ところが、これが落とし穴です。
あれもこれもと並べると、一つひとつが薄くなり、結局「いろいろあった」という印象しか残りません。読み手の心に残るのは、たいてい、具体的な場面が一つ、くっきりと描かれた作文のほうです。いつ、どこで、誰が、何をしたか。その解像度が高いほど、経験は説得力を持ちます。
だから、書く前にやるべきは「網羅する」ことではなく「選び出す」こと。問いに対して、自分の言いたいことを一番よく支えてくれる経験はどれか。そう考えて一つに絞り、その代わりに深く描く。豊富な経験がものを言うのは、たくさん書けるからではありません。最適な一つを選び出せるからです。
お子さんが「何を書けばいいかわからない」と悩むとき、経験が足りないのではなく、選びきれていないことがほとんどです。教室では、お子さん自身の経験を一緒に掘り起こし、「この問いなら、この場面」と結びつける練習を重ねます。
山本