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数学史5の2「現代数学」1実用性

2026年05月27日

こんにちは。広島に原子爆弾が投下されたとき、私の祖母は爆心地から2kmのところにいました。まだ父は産まれていませんでしたが、父の姉と兄が亡くなったそうです。飯田です。

19世紀後半から20世紀にかけて、数学は3つのテーマで発展します。実用性、厳密性、抽象性です。

前回の近代数学の流れをくんで、まずは「実用性」から取り上げます。

物理学では新しいテーマが生まれました。力学、熱力学、電磁気学の融合を目標に統一理論の模索が始まります。量子力学、相対性理論などが発見・研究されるようになると、複素関数論、線形代数学、非ユークリッド幾何学、位相幾何学などの近現代の数学の実用性が脚光を浴びるようになりました。

複素関数論
複素正則関数の性質(コーシーの積分定理など)を利用して、積分計算や微分方程式を解きます。「正則」という強い条件は、1回微分できれば無限回微分可能であるという特異な性質をもち、物理的な「滑らかさ」を保証します。

線形代数学
上の複素関数と無限次元の線形代数学は、量子力学の数学的基礎として、フォン・ノイマンらがを用いました。

リーマン幾何学
ユークリッド幾何学の5つの公理から「平行線の公理」を除いても「幾何学」は構築できるとして、非ユークリッド幾何学がうまれました。それをさらに発展・一般化したものがリーマン幾何学です。アインシュタインの「一般相対性理論」において、質量が時空を湾曲させる様子(曲率)を記述するのに必須で、宇宙論やゲージ理論でも不可欠です。空間の各点での距離や角度を、内積の集まりとして滑らかに定義し、空間の曲がり具合(リーマン曲率テンソル)を考えることができます。

位相幾何学(トポロジー)
現代物理学(固体物理、物性物理)における「トポロジカル絶縁体」や「素粒子論」において、空間の穴の数や「結び目」のような構造が物理的特性を決定づける(例:量子ホール効果)。距離の概念を捨て、接続性(ホモロジー、コホモロジー)を重視する分野です。

量子力学のための道具としての数学が研究され、洗練されていきました。原子や電子など目に見えない極小の「量子」の世界の法則が徐々に解き明かされていきました。現在では、量子コンピュータやMRI、スマホやPCなどの電子機器に応用されていますが、人類史に最大の影響を与えたのは、核分裂反応というとてつもないエネルギーを扱えるようになったことかもしれません。

20世紀、2つの世界大戦がありました。その後には冷戦時代もありました。いくつもの悲劇を経験し、数学・科学の発展が諸刃の剣であることを人類は知りました。政治、倫理、哲学など様々な面で、人類としての成長が必要とされています。

「厳密性」と「抽象性」については次回お話します。

では、失礼します。

enaあざみ野校校長・算数数学担当 飯田

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